【Road to KONA 2013】 メンバーレポート ~河上選手~

アイアンマンニュージーランド 初アイアンマン体験記
レース結果 10:37:42  総合130位 エイジ31位(40-44)
2013年3月2日、初アイアンマンレース&初海外レースをを完走しました。その体験記を記します。長くなりますが、ご辛抱ください。
2月27日(水)

仁川経由大韓航空にて、ニュージーランドオークランド空港に降り立つ。結構マイナーな行き方だと思ったのに、結構な日本人の数。しかもほとんど、トライアスリート。どこかのツアーの人たちなのかな。みんな、とても強く見える。
オークランド空港にて、WILD EDGEツアーの堀さん夫妻を待つ。今回はこのツアーに本当にお世話になった。とりあえずバイクを持って空港に降り立てば、あとはすべてお任せのフルコース。パーティーの送迎から選手登録、観光まですべて案内してくれる。初めての海外レースなのに本当にリラックスできたのはこのツアーのおかげ。

ニュージーランド航空で来られる方(これがメジャーな行き方)と合流して一路タウポへ。タウポまで300キロ、車で4時間ほど。途中は牛ばかりで羊はいなかった。残念。羊は儲からないらしく北の方ではほとんど見ないそうである。
夜、泊まり先のAbsolute Lake View Motelに到着。その日はツアーのみなさんとモーテル近くのタイ料理屋で夕食。石井さんが頼んだベジタブルカレーが美味しそうだった。で、そのままスーパーに買出し。

 

2月28日(木)

朝、スイムコース試泳。タウポ湖は湖というよりもう大きな海。流れが強くビックリしたが、本番はその流れをせき止めるらしい。ほっとした。水温も思ったより冷たくなかった。透明度がものすごく宮古島より水中がよく見える。淡水なので少々水を飲んでも大丈夫。

帰って、バイク組み立て。大韓航空は受託手荷物23キロまでなら自転車も無料。本当は輪行袋にSCICONを使いたかったのだが、袋自体が重くて断念。OSTRICHのOS-500を使用。少々不安だったが無事のよう。そのまま、ツアーでご一緒の志垣プロ、今村さん、鈴木さんにバイクコースの一部試走に連れて行ってもらう。

帰宿後、今度は専用車でバイクコース(一部)とランコースを下見。バイクコースは90キロを2周回。スタートしてすぐに7パーセントの上りがある。ここをいかに抑えて走ることができるかが、カギになりそう。また、1周目と2周目でコースが若干違うので要注意。プロでも間違えたとのこと。堀さんが丁寧に何度も教えてくれる。大丈夫。ランコースは14キロのコースを3周回。コースが複雑に感じたがランコースを間違える人はいないとのこと。下見のときは気がつかなかったが、実は意外とアップダウンがあるコースだった。

帰ってきて、選手登録会場へバイクで向かう。ホテルから会場まで歩いても10分ほど。ホテルからスイムスタート地点も同じくらいで歩いていける。楽ちん。

選手登録するためにはウェットスーツの消毒が必要となる。タウポ湖の自然を守るためだそうである。会場でジャブジャブ消毒してもらってその証明を持って選手登録。これまた堀さんがついて来てくれるので心強い。リストバンドをつけてもらい、体重まで計測した。ベストより+4キロ増。冬の間の貯えが解消されなかった。調整不足。トランジションバック等をもらったので帰りは、バイクを押して歩いてホテルまで。チームYでは複数のトランジションバックを背負ってのバイク乗りは禁止です。ひっかかって大変な目にあった方がいるらしい。教えを忠実に守る。

夕方、カーボパーティー&選手説明会。

さすが欧米。大味だが、たくさんの食事がある。カーボローディングの名のもとに大量に平らげる。おかげで胃腸が疲れて体重も増加。堀さん曰く、レース前は意気込んで食べるより、本番でしっかり補給できるように、むしろ抑え目で胃腸を休めるほうが良いとのこと。こういうところに経験の浅さが出る。

飲み物にはレース当日エイドで提供される「Horleys」なるスポーツドリンクもあった。日本では見かけないのだが、あまり甘くないので日本人にも大丈夫そうである。

食事を食べてから、主催者の挨拶が始まる。これが日本のレースと違うところ。実に選手のことを考えてくれている。日本では主催者の長~~いスピーチが終わるまで食事はお預け。なんとかしてほしいものである。

説明会は英語でまったく何を言ってるかわからないのだが、日本語の資料も配られるので大丈夫。エイドにはいつも自分が使っているPowerBarやPowerGelも置いてあるそうである。一安心。ドラフティングは10m。まあ、そんなことしないから関係ないと思ったけど、その油断が後ほど悲劇につながる。やれやれ。

帰ってきて各トランジションバックにレース道具を入れる。

 

2月29日(金)

朝、二度目の試泳。昨日は過呼吸気味でうまく泳げなかったけど、二度目になるとさすがに慣れてきた。オープンウォーターはもとよりスイム自体が苦手なのでいつも不安であるがなんとかなりそうである。そういえば3.8キロを続けて泳ぐのは初めてだなあ(佐渡Aは1.9キロ2周回。一周目で陸にあがる。)

その後は軽く走って終了。ホテルには朝食はつかないが、調理器具がある。今回の旅は食材を買いすぎてしまったためにほとんど外食せずサンドイッチ風なものを作って食べていた。果物も大量に買ってしまっていた。これも食べ過ぎの原因。やれやれ。

午後、バイクとトランジションバックの預託。またバイクを押して、てくてく会場まで。

ああ、バイクカバーを忘れた。天気が良かったからよいが、雨が降ったら悲惨だった。さすがにプロはしっかりカバーをかけていた。チェーンオイルをしっかり塗り、ギアトレイン周辺と補給食が張り付いているトップチューブ周辺にはビニール袋をかけた。ビニール袋の固定には養生テープ。今回これが大いに役立った。ヘルメットもバイクにセット。ボランティアの方がたくさんいてバイク預託にもしっかりついてきてくれる。何か話しかけてくるのだが、英語が苦手な私にはさっっぱりわからない。目標タイムを聞かれているらしく「10 to 11」と日本人らしく控えめ(!?)に答えておいた。結局、結果はそのとおりだったのだけれど。トライアスロンもフルマラソンといっしょで、スタートラインに着く前にそれまでの練習量、体調である程度の結果が想像できるものですね。

ホテルには小さいながらもサウナやジャグジーもあるので、当日の暑さ対策でそれらを使用。サウナは日本の冬の寒さで閉じてしまっている汗腺を拡げるために有効であるとのこと。来月の宮古島のレース前にもサウナに入ってみよう。

夜9時就寝。いつもレース前は緊張で寝られないのだが、この日はなんとか眠ることができた。日程的に余裕があったり全部おまかせのツアーのおかげでリラックスできているからかな。

 

3月1日(土)レース当日

4時起床。5時間くらい眠れたかな。眠れないのがあたりまでレースには臨んでいるのでうれしい限り。昨日の間に作っておいたサンドイッチや果物を食べ、フロアポンプ、チェーンオイルを持っていざバイク会場へ。バイクはしっかり夜露に濡れていた。やっぱりカバーは必要だった。今回はリアのホイールに、知り合いに借りた飛び道具「ZIPP SUB9」を使用。ディスクホイールなのでみなさん、空気を入れるのに苦労されるようであるが、私のフロアポンプにはHIRAMEの横カムが付いているので、比較的楽に入れられる。さあ、入れようと思ったら外人(って表現も変ですが)に声をかかられる。ディスクホイールなので空気を入れてほしいとのこと。時間がないんだけどなあと思いつつ、志を同じくするトライアスリート同士、しっかりお手伝い。外人もそのフロアポンプに関心していた。日本の科学力は世界一っっっと思った瞬間です。その外人、体は私よりかなり大きいのに空気圧は7barでよいとのこと。空気圧ひとつをとってもいろんな考え方があるんだなあ。

サイクルコンピュータの電源を入れ、チェーンにオイルもさし、ギアも適当な位置にセットし、会場を去る。

ホテルに戻り、昨日作ったサンドイッチを食べつつ、ウェットスーツに着替える。ワセリン、日焼け止め(日本は冬なのですっかり忘れていたのだが、入れておいてよかった)あとMASAさんのNZ参戦記に書いてあったホットクリームを塗ってみる。これは非常に有効だった。身体がポカポカしてくる。スイムで過呼吸にならなかったのもこれがウォーミングアップの代用になったからかな。

レース後の着替えを入れたトランジションバッグ、水を持ってスイム会場へ。みなさん、サンダル等で会場までいくのだが、つまずきたくない自分はしっかりスニーカーを履いていった。

 

[レース編]

スイム 1:08:42 SWIM  部門別509位

スイム会場はまだ夜明け前。スタートを待つ選手、応援の方でごったがえしている。

我々のスタート20前にプロがスタート。さすがプロ。あっという間に湖面に消えていった。その後、意を決して試泳しようとするが、同じツアーの猛者今村さんに「体が冷えるので水に入るのは10分くらい前、試泳はスタートラインまでで泳げば十分」とアドバイスを受ける。先達はあらまほしき事なり。外人を見て気がついたことだが、みなさん耳の上からスイムキャップをしている。自分もまねしてアイアンマン気分。

10分前スタートにつく。水は冷たくない。今村さんはインコースに並び、スイムが苦手でバトルに巻き込まれたくない私はスタートの左端に陣取る。でも積極的に前に並ぶ。

スタート!コースがものすごく広いため、バトルにまったく巻き込まれず。でも、やっぱりプールのように泳げず毎回呼吸。おかげでスピードに乗らない。パワフルな外人にバンバン抜かれていく。ドラフティングして省エネでいこうと決めていたため、コバンザメのように誰かにつくのだが、なかなか同じペースの人を見つけられず。あっちについたりこっちについたり、たまに一人で泳いだりとまだまだ経験不足ですね。コースのブイには、日本と違ってロープが張ってないため、コースミスも多発しそうである。コースを外れないようにときどきヘッドアップするのだが、それでもよく分からない。あきらめて人にくっついていく。そうしたら、目の前に第1ターンのブイ(1500m)があった。ホッとして油断したのか、後ろ足をけられて足が攣ってしまう。キックができない。キックを打たないようにして、なんとかごまかしながら泳いでいく。第2ターンまで400メートル。

さあ、あと半分だ。足の攣りは持ちそう。身体もまあ、比較的元気。でもやっぱりどこを泳いでいるかわからない。これまたひたすらドラフティングして泳ぐ。つく人、つく人右へ行ったり左へ行ったり。みんなも不安なのかなあと思っていると最終ブイが見えた!これまたホッとする。ここを折り返して岸まで泳げばゴール。このあたりは流れが強く、頭の中でベクトルを頭に浮かべながら岸にあがる。タイムは1時間8分。目標としていたMASAさんの1時間2分は遠く及ばないが、まあ、悪くない。あとはバイクとランでどれだけカバーできるかだ。いつものパターン。

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T1 0:07:17  部門別467位

トランジションエリアは丘を400Mほど走らなければならない。スイムアップの段階では、順位が分からず、悪くないと思っていたのだが、選手渋滞でジョグ程度でしか走れない。脇から抜いていく人もいるのだが、そこまでしてもなあと思い、他の選手に合わせてエリアに向かう。CHIEさんから寒いからウェットは着たままで良いとのアドバイスを受けていたのだが、この日はとても非常に暖かく、脱いでも大丈夫そうだったので、背中のジッパーをまさぐったが見つからない。そうしたら、大きな外人さんがジッパーを下げてくれた。サンキュー!

丘を駆け上がり、トランジションバッグを受け取り着替えのテントへ。ボランティアの方が一人ついてくれて着替えを手伝ってくれる。椅子に座ってウェットを脱がせてもらい、Yジャージを着て足をタオル(トランジションバッグに入れておいて正解だった)をふいて、さあ、シューズをはこうと思ったら軽いアクシデント。椅子がコテンと倒れる。気を取り直して座り直したらまたコテン。そのたびに足をふき直し。やれやれ。トランジションの際は、土台がしっかりしているところにある椅子を選択したほうが良い。嫌な予感がしたんだよなあ。最後にスポーツゼリーをほおばり(これもバッグに入れておいて正解だった)、バイクに向かう。どうもトランジションエリアには補給のステーションがないみたいだ。自分が発見できなかっただけかな。ちなみに着替え終わったウエット等はボランティアの方が、バッグに詰めてくれる。実にありがたい。

バイクもすんなり見つかり、エアロヘルメットをかぶってさあ、出発。

 

バイク 5:43:08  部門別288位

NZの道は荒れていると聞いていたのだが、初めのところは日本の道を変わらない。ディスクホイールをゴーゴー言わせながら(エアロヘルメットをかぶっているとこれが聞こえない。実に残念である)走る。湖岸線を左に折れると坂があるのだが、元気に駆け上がる。途中抜いたり抜かれたり。特に気にしないで、マイペース。坂の途中で堀さんが応援してくれる。元気に手を振り坂を上っていく。寒いと聞いていたため念のためアームウォーマーを着けていたのだが、今日は暑かった上に、DHポジションをとるとパッドの部分が滑ったので手首までずりおろしひた走る。坂を上りきると、比較的、平坦な道になる。DHポジションで戦闘モード。でも、そのうちそのポジションを取るのがつらくなってきた。理由は、エアロバーの間にセットしているエアロボトルから延びるストロー。長過ぎて顎にあたるのだ。そのためうまくかがむことができず、高い姿勢になって首が妙に凝る。本番前に予行練習をしなかった自分を呪った。このままではいかんと思いホースの上の部分のジョイントを無理やり歯で引きちぎり、この問題を解決。やっとまともに走れるようになった。

コースであるが、初めの登り以外、平坦であると聞いていたのだが、意外と上り下りがある。ディスホイールよりディープリムの軽いホイールの方が貧脚の自分には正解だったかもしれない。外人もプロ以外ほとんどディープリム。路面も湖岸の道以外は噂通り荒れている。ボトルやDHバー(!?)が落ちてるほどではなかったのだが、なるべく轍とかきれいなところを選んで走る。

エイドステーションも5キロごとという話だったが、なんとなくアバウトに設置されている。注意することとして、ボトルや補給に使ったゼリー等のごみはエイドの周辺にしか捨てられないということである。この捨てられるエリアを過ぎたらあきらめて、次のエイドを待つ。

一周目は順調に終える。タイムも2:40:54 。悪くない。

二周目の坂も順調に登る。しかし平坦な道になり、道が再び悪くなると振動のせいか、エアロボトルのふたが外れてしまった。路面からの振動を受けるたびに水が飛び出てきて体を濡らす。べたべたして実に不快だ。

100キロ地点で疲れていそうな前の外人をパス。しかし、その後、その人に抜き返される。抜いた途端その人が減速。こちらも少々疲れてきたので、そのままでいたら巡回パトロールの審判に痛恨のドラフティングを取られる。結構、距離を取っていると思ったのだが、問答無用である。どうやら群れの最後尾にいるとドラフティングを取られやすいようだ。良い勉強になった。あと、登り坂でパックが詰まってきてもしっかり距離を取らないといけない。理不尽だと思うが、ルールはルールだ。

ドラフティングを取られると、バイクゴールまでにコース上にあるペナルティーボックスに必ず入らないといけない。しかも4分間。がっくりきてしまったがしょうがない。4分休めるんだと割り切り、ペナルティーボックスを探して飛ばしに飛ばす。なかなか見つからず、かなり疲れてしまったのだが、なんとかピットイン。番号を告げておとなしく4分間。この間、補給等とってはいけない。屈伸等もたぶんダメ。でもタイム計測の人もボランティアで、なんとiPhoneで時間を測っている。なんだかなあ。他に捕まった人も大勢いてみんなで理不尽だとこぼしている。僕もそう思う。

4分がたち、再スタート。足は回復している。また漕ぎ出すが、風とアップダウンでタイムが伸びず。最後に秘密兵器のコーラの補給をとったが、遅れを取り戻すことはできなかった。2周目は3:04:54 がっくしである。トータル5時間43分くらい。

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T2 0:03:09 部門別247位

バイクのゴール地点。バイクをボランティアの人に渡す。バイクは自分でラックに戻さなくても良い。アイアンマン、噂通りであった。

テント前でトランジションバッグを受け取り、テントへ。安定したイスを探し(トライアスロンは経験から学べるスポーツです。)ドカッと座る。ここでもボランティアの人がついてくれる。ヘルメット、バイクシューズを脱ぎ帽子を被り靴を履き(ランからトライアスロンに入ったプライド(!?)でサンバイザーは使わない。靴も男は黙ってアシックススカイセンサー)エナジーゼリーを補給しテントを出ようとしたが、背中のポケットに補給食を詰めようとして端と気がつく。バイクジャージを着たままだった。「Mike!」とボランティアの方(名前を聞いておいて良かった)を呼んで、ジャージを脱がしてもらい、ついでにトイレにも入り気を取り直してスタート。スタート地点までにワセリンやら日焼け止めやら塗ってくれるボランティア多数。本当にアイアンマンってホスピタリティーがすばらしい。

 

ラン 3:35:24 部門別67位

ランは14キロの3周回。1周ごとに色のついた腕輪を受け取る。T2を終わったバイクの疲れもなく(もう少しバイク追い込めたのかな)元気にスタート。バイクを終わってタイムは7時間3分くらい。サブ10は無理でも、最低ラインの10時間30分は切れるかな。

はじめの1キロは4分15秒。このままだとサブスリー!?とか思いながら、飛ばし過ぎを反省して少々ペースダウン。それでもキロ4分45秒くらいで走れてる。良いペースだ。

外人は噂通りランが弱いらしく(でも、スイムとバイクはめちゃくちゃ強いです。)1人1人パスしていく。あまりに快調で走っているので、他の選手に「GOOD RUN!」と声をかけられる始末。「日本人はランだけ強いんだ」と返答して飛ばしに飛ばす。

ゼッケンに名前が入っているので、周りの応援の人も名前で応援してくれる。果ては「がんばれ!」と日本語で応援してくれる人もいる。うれしい限りだ。日本語で「ありがとう!」と答える。小刻みに続くアップダウンが身体を絞り切れなかった自分にボディーブローのように効いてくる。気温も高く、日差しも強くなってきた。

2周目に入り、またはじめの1キロ4分15秒くらいに上がる。バイクのときもそうだったのだが、スタートのあたりは坂道になっているようだ。次周はペース配分を狂わさないように気をつけよう。アップダウンなコースと暑さと日差しでハーフを過ぎたあたりから、足が重くなってくる。ここからが辛抱だ。プロの志垣さんを発見。さすがに元気で速い。コースが住宅街に入ると堀さんたちが応援してくれる。心強い。このあたりで、同部屋の長谷川さんを発見。ランは弱いと言っていたが、やはり苦しそうだ。追い抜くとき、背中をバンと叩いて気合いを入れてあげる。痛かっただろうなあ。ごめんなさい、長谷川さん。

最終周。はじめのところはやはりスピードに乗る。このまま行きたいものだ。はじめの大きな坂を上る前にエイドがある。ここでPowerGelを手渡してもらった。手持ちのPowerGel 2本は10キロと20キロで補給してしまっていたので、ありがたい。どのエイド(バイクも)にもPowerGelとPowerBarはあるとのことだったが、なぜかここでしか発見できなかった。エイドは基本的に立ち止まらないノンストップ大作戦をとるので(ここで休まないのが、人を追い抜く良いチャンス)見つけられなかったのかな。手渡してくれるのはここだけだった。あとドリンクであるが、スポーツドリンク「ホーリー」は通じるが、「コーラ」がどうしても伝わらない。「ペプシ」といっても通じなかった。よっぽど発音が悪いんでしょうね。モーテルのフロントで食卓塩を借りようと思って言った「ソルト」も通じなかったんだけど。英語はしっかり勉強しましょう。

補給十分で登りに入る。今までのアップダウンで脚にきているようで、キロ6分を越えてしまう。ここではじめて他の選手に抜かれる。30-34のエイジ(選手全員、ふくらはぎにエイジのインスタントタトゥーを入れるので分かる)の選手だから許してあげよう。登り下りはしばらく続く。次の坂で、また抜かれる。まあ、体重が軽そうだから負けてもしょうがない。やはり、軽さは正義だ。この人について行こうと思ったが、登りで離されてついて行けない。住宅街に入り、今度は50-54のエイジの人に抜かれる。3人目。これにはさすがに愕然とした。よく見ると、よく日に焼けていて完全なランナー体型。こういう人がどこにでもいるんだなあ。エイドでも脚を止めることなく駆け抜けていく。さすが、よく分かってらっしゃる。またまた堀さんたちが応援してくれるのだが、もはや、元気が売り切れ。いつもなら30キロ過ぎから、もうひとがんばりという感じで走れるのだが、今回はその気力が湧いてこなかった。走り込みが足りなかったからか、前半飛ばし過ぎか、体重のせいか、思い当たるところは多々ある。そしてとうとう37キロ付近で、脚が攣ってしまった。坂を下るときに嫌な予感がしていたのだが、案の定。でも、ラン中に脚が攣るのは初めての経験だ。攣らないのが自慢だったのに情けない。しばらく立ち止まりストレッチ。あまり芳しくない。あきらめて、あと5キロ、攣りながら走る。ペースは落ちるがもう少しだ。4、3、2,1キロ。そして、ラスト。周りの観衆とハイタッチを交わしながら、ゴール。時間は10時間37分。軽くガッツポーズ。ああ、もう走らなくて良いんだ。ほっと一安心。でも、やっぱり目標を達成できず複雑な心境。

日本人らしく、ゴールに向かって一礼。大会を支えてくれた皆さん、本当にありがとう。

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[レース後]

ゴール後、メダルとタオルを掛けてもらって、そのまま体重計測。72キロ。4キロ減。暑かったものなあ。でも、どうも周りの方が心配している。「これはいつもなの?」「いや、いつも通りだけど」他の選手はあまり体重の増減がないんですね。知らなかった。

トランジションバッグを受け取ると、今村さんに声をかけられる。さすが速い。しかもスイムは52分であがったとのこと。ええい、化け物か。でも、スイムはトライアスロンをはじめてから本格的にはじめたそうである。勇気をもらえる。ドリンクとフルーツを平らげ、マッサージを受ける。しかも日本の方だ。オークランド在住でボランティアでここまで来ているとのこと。このレースのために、実に多くのボランティアの方が参加している。本当にありがたい。普段、マッサージを受けないのだが、(マラソンの小出監督がマラソンを走るのにはちょっとぐらい張りがあった方が良いと言っていてので)無料だし、せっかくだから受け手みた。気持ち良いですね。疲れも取れそう。

ゴールにあるサンドイッチやらスープやらアイスを沢山平らげ、ご満悦。食べることも仕事です。することもないので、そのままバイクピックアップしてモーテルに戻る。いつでもバイクをピックアップできるのもこの大会の良いところ。

モーテルの水場で、ドリンクやゼリーでどろどろになった相棒をがしゃがしゃ洗う。今回もパンクもせず、故障もせずありがとう。ウェットやらウェアも水洗い。ジャグジーにも入ってのんびりし、部屋に戻ってあと片付け。そうしていると、同部屋の長谷川さんの知り合い、平松弘道プロと益田大貴プロがバイクを僕らの部屋に置かしてもらおうとやってくる。長谷川さんも了承済みだそうだ。って、長谷川さん、レース中ですよね。両プロは自分たちで宿をとり、レンタカーを借りてこのタウポまで来たそうである。プロの世界は厳しいんですね。両プロが帰ったあと、その緊張とレースの疲れでベッドうつらうつら。睡魔に襲われる。

起きると堀さんや他のツアーの方々も多く帰ってきていた。完走した人も途中断念した人もいる。悲喜こもごも。でも、まだまだがんばっている人たちがいる。外はもう真っ暗だが、僕らも沿道にでて応援。制限時間は17時間。みんな、ゴールに向かって必死に走っている。メタボっぽい人から、高齢のおばあちゃん、明治大の学生さん・・・ 片腕のない方もいた。制限時間が長いのもアイアンマンも魅力ですね。身体能力に差はあるけど、トレーニングをちゃんとした人は完走できる。すばらしい。

南十字星も見ることができた。やっぱり苦しいけど、その苦しさを忘れるくらい楽しいレースだった。

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3月2日(日)

堀さんがタウポ観光に連れて行ってくれる。本当に至れり尽くせりである。Huka

滝に連れて行ってもらいみんなで記念撮影。

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Huka Prawn parkでランチ。たらふく食べて記念写真。で、蜂蜜屋さんでお買い物。アイスクリーム。マヌカハニーって有名なんですね。実に美味しい。今回はまったくニュージーランドのことを調べず、ツアーに任せっきりでした。少し反省。その後、タウポバンジージャンプを見に連れて行ってももらう。料金は高いけど、長谷川さんと石井さんはしっかりバンジーしました。僕は故障しそうだからやめときました。決して怖いからじゃありません。同じ頃、レース会場ではアイアンマンハワイのスロット授与ミーティングがありました。70歳の強者アイアンマン平井さん、ハワイの枠をとっていたのに僕らと一緒に観光してました。今年は出ないそうです。余裕が違いますね。

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夜はアワードパーティー。やっと、ゆっくりお酒が飲める。

男子の優勝はあのCameron Brownを破った地元NZのBevan Docherty 女子はアメリカのMeredith Kessler 志垣プロは女子プロ7位 ポイントがとれたそうで実にうれしそう。おめでとうございます。

Bevanさん、優勝スピーチで家族の協力のおかげと泣いていました。ほろっとさせられる。そして、大会関係者とボランティアの方々に選手全員でスタンディングオベーション。すばらしい場面だ。

アワードパーティーも食事をした後、表彰式やスピーチがはじめる。何度も言うようだが、日本の大会も是非見習っていただきたい。

 

3月3日(月)

朝、2時半起床。オークランド空港まで4時間のドライブ。

9時過ぎの便で仁川経由成田へ出国。大韓航空はバイクを受託手荷物として預けることができ、23キロまでなら無料。レース着等は手荷物として機内へ。これも12キロまで無料。大いに助かった。多くのツアーの方々はNZ航空を使ったようであるが、大韓航空は料金が安いのも魅力的。機内食もビビンバやキムチカップラーメンもあります。

初海外レース、初IRONMANとなった、今回のIRONMAN NZは天候に恵まれ、堀さんのツアーも至れり尽くせり、同じツアーの方々もすばらしい方々ばかりで本当に楽しかった。レース結果は、まだまだ力が足りず芳しくなかったが、実に良い体験になった。これを糧にさらに精進していきたい。

 

河上さん、お疲れさまでした。とにかくハワイあるのみ!

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Triathlon “ MONO ” Journalist     Nobutaka Otsuka