Y’sロード茅ヶ崎店の店長大塚さんからの「全員集合佐渡」ツアーの募集に手を上げスイム2km、バイク105km、ラン20kmのBタイプに参加しました。芸能人の参加の影響もあり4月1日に申し込みが開始した大会はその日のうちにsold out。レースまで5ヶ月の準備期間があったがあっという間にレース当日を迎えることになる。
Bタイプのゴール終了時間はAタイプ(S3.8km、B190km、R42.195km)の21時半と同じなので自らリタイアしなければ完走ができる、練習を積んでいれば気分的には楽なものであるはずなのだが。。。
スイムは会員になっているジムの週2回のマスターズクラス参加、4回の海練に参加をしたので2kmならば時間はかかるが泳ぎきることはできそうだった。
一方バイクは実走経験がほとんどなし、6月にデビュー戦である大島トライアスロン大会に参加し、バイクフィニッシュは限りなくビリに近いタイム、さすがにこのままではバイクの完走が危ぶまれると思い漸くバイク練習会に参加し始めたが7月の練習中に下り坂で転倒し顎、肘、膝を縫合するほどの怪我となり、ますます私にとっての苦手科目となったままレース当日を迎えることとなった。一日で最大にバイクに乗ったのは50km程度、105kmのライドは未知の世界だ。
レースの前日床についたのは22時前だったが軽い緊張のためかほとんど眠れず3時に起床、3時半に食事、5時半に宿を出発と余裕があったのに出発直前にバイクに空気を入れていなかったことに気がつく慌てて入れる。台風12号の接近の為、大会中止も危ぶまれたがAタイプのスイムが2kmと短くなったのみで予定通りの開催となった。
号砲の音とともにAタイプの赤キャップが6時20分にスタート、続いて選手権の白キャップ6時45分にスタートした。上述の大島大会は天候の影響でスイムカットのデュアスロンとなったためレースの開始を生で見たのは初めてだったがまるで魚の大群が沖に向かって突き進むような光景であった。
クラゲに刺されることを考慮し佐渡到着の2日前から一切海には入らずスタートの少し前に初めて海に顔をつけてみた。4回の海練の海よりは透明度は高く波もほとんどない。プールで練習している感覚で泳げそうだと気分はとても落ち着いていた。
Bタイプは7時にスタート。
自分の立ち位置も分からないまま青キャップの魚群の一部となって海に入っていく。周りのスイマーたちと押し合いへし合いしながら時々顔を蹴られたり足をつかまれたりしながら、時々ブイのロープにつかまりながらゆっくり進んでいく。第二ブイを過ぎ陸に向かうときに風の影響で波に押されなかなか前に進まない。ペース配分が全く分からないので相当低い心拍数で海の中の海草や魚を眺める余裕を持ちながら泳いでいた。シュノーケルだったら楽しいだろうなあと余計なことも考えていた。
漸くあがってシャワーを浴びながらウェットを脱ぎ自分のバイクラックに戻る。
バイクジャージを着てあらかじめ手順を書いたメモ通りに用意したもの身に着けていく。
バイクスタートの時点で大塚さん、怪我をしてDNFとなったクラゲ君、前週モンブランのトレイル大会から戻ったばかりのタダゴンが待っていてくれて応援してくれた。これからの105kmの長旅に出る前に応援の声はとても励みになる。
佐渡島を横断すると左手に日本海が脈々と続く。荒い波を眺めながら強い風に吹かれながらまるで修行僧の苦行のような気分でペダルをこぎ続ける。人間は自然と対峙するのではなく自然の構成物の一つとして生きているのだと改めて感じる。
何故人は’走るのか’について村上春樹や三浦しおんが書き物にしているがトライアスロンは巡礼の旅の心境に似ているのかもしれないと思いながら丁寧に進むことを心がける。
タイムには拘りがないので熱射病の予防のため10km毎のエイドで必ず水分補給、立ちゴケを避けるため必ず両ペダルを取って止まって受け取ることにした。
道端には地元のおじいちゃんおばあちゃんが至るところで太鼓をたたきながら「がんばれやあ」と声をかけ応援してくれる。
40km時点で突然「しほさ~ん」と声がする。あれえ、佐渡にいるはずのないキティさんとsutoさんが手を振ってくれる、嬉しいサプライズだった。チームの応援のためわざわざ駆けつけてくれたのだそう。素敵なお兄様たち。
60km時点で水分補給のしすぎかトイレに行きたくなり、家族で外に出て応援してくれているお家の洗面所を借りることにした。
心配ごとがなくなったところで70km時点の2.5kmに及ぶ傾斜のきつさで選手たちを苦しめる小木の坂が始まる。
佐渡に渡る新潟港の船の待合所でご一緒した小木の坂に住んでいるお婆さんが私の名前を呼んでくれた。何時にくるか分からない私を待っていてくれたのだ。嬉しくて涙が出そうになる。がんばって苦しい坂を上りきるとまたさらに坂が。
そこに移動してきた大塚さん、クラゲ君、タダゴンが声をかけてくれる。写真も撮ってくれているのでがんばって登りきる。
途中からAタイプの速いバイク集団が追い抜いてくる中プリ金さんが、河上さんが「もう少し!がんばって!」と声をかけて通りすぎていく。めちゃくちゃ格好いい。
つらいupdownをこらえ商店街を過ぎ漸くバイクフィニッシュ。すでにバイクラックには多くのバイクがかかっていたが一番の懸念であったバイクが終わりホッとした。たくさん補給食を用意したが結局口にしたのはパワーバーのグミを2袋のみ。宿泊をした’ryokan浦島’の食事で2日間食べ続けたのが良かったのかそれほど空腹も感じなかった。
長い時間バイクに乗っていたので腰に痛みを感じたがながらまだまだ元気もあり脚もどうにか動き20kmのランはなんとかなりそうだった。
同じくBタイプデビューの池田さん、池上さんとすれ違う。
田んぼを抜けると後ろから爽やかに柏木さんから「しほさん完走ですね!」と声がかかる。
10kmを折り返すとりょうこちゃん、まみちゃんが男子たちをグングン抜いてすれ違う。まみちゃんとは今回のツアーで初めて出会ったのだがとても親切にバイクの心構えを教えてもらった。パートナーの高坂さんにもバイクのチェックをしてもらった。しばらくすると「しほ完走おめでとう!ナイスラン!」とちえちゃんの声が聞こえハイタッチ。
給水所で残り5kmといわれるがそこからが結構長い。同じくらいのペースの選手たちと抜きつ抜かれつつの地味なデッドヒートが繰り広げられる。漸くゴール。
自転車をガラガラ押して宿に戻りゆっくりお風呂につかり、片付けをしてAタイプの応援に戻る。初Aタイプ参加のなつみちゃんが商店街を駆け抜けていく。
苦しそうに脚を引きずる選手、意外にも軽やかに走る選手いろいろだがアイアンマンより長い距離を走る切る彼らの胸中に思いを馳せながら少しだけ感動のおすそ分けをもらった気分だった。終了時間が近づく案内のアナウンスが流れる。ゴール目前でレースを中断しなければならなかった仲間たちのことを思うと涙が出そうだった。Bタイプの距離には少し余力があるが今の私の実力ではAタイプなどとても完走できない。参加を決めることだけでも頭が下がる思いだ。
バイクの技術、練習量を含め課題は満載ですが心地良い疲れと共に完走できた喜びをひしひしと噛み締めております。このような経験の場を与えてくださった大塚さん、一緒にツアーに参加した皆さんどうもありがとうございました。
横山さん、完走おめでとうございます。来年は宮古です。(大塚)
Triathlon “ MONO ” Journalist Nobutaka Otsuka